モチベーション理論のひとつであるハーズバークの2要因説というのがあります。これによると、組織構成員のモチベーションを変動させる要因は、構成員に不満足を生じさせる要因(衛生要因)と構成員に満足をもたらす要因(動機付け要因)に分けられます。前者はそれが満たされないと不満足の原因になる要因で、具体的には、賃金、職場の人間関係、作業時間、管理体制のあり方など仕事を取り巻く環境があたります。後者は、それを満たすことで満足を積極的に高める要因で、具体的には、仕事の内容・達成度、結果への評価、仕事を通じての成長など、仕事そのものに関連する要因があたります。
衛生要因は、それにいくら働きかけても従業員の満足は満たされることは無く、しかもそれが欠けるとこれらの要素を限りなく求め続けるという面があります。満足度を高め意欲を引き出すためには、仕事の内容、やりがいといった動機付け要因を満たすことが重要となります。いわば、衛生要因の解消はマイナスをゼロにすること、動機付け要因の充実はゼロをプラスにすることと言えます。
昨日あずさ監査法人の説明会に行ってきました。インチャージ(現場責任者)の方と話す機会があったんですが、会計士が活躍する新しいフィールドや仕事の内容について熱く語っておられました。日々動機付け要因に突き動かされてるような人は、漏れなく人間的な魅力に溢れる人です。自分もこうなりたいと思えるような輝きを放っている人が多いですね。
住宅手当が出ないだの上司がウザイだの残業が多いだのイケメン新入社員を喰っただの話してるOLの方がよくいますが、正直見てて虫唾が走ります。それらが解消されたとしても結局はそこどまり、新しい手当て、より楽な上司、新しい男を求めて愚痴り続けることでしょう。日々衛生要因の解消に追われてるような人は、漏れなく職業的発展性に乏しい人です。マイナスが一時的にゼロになるだけであって、決してプラスに転じることはあり得ません。まぁ別になりたくてなった職業じゃないって言うんなら仕方ないかもしれないですけどね。
エンパワーメントという概念があります。まぁ使われる場面によっていろいろ定義付けられると思いますが、「どこでも雇われる力」という解釈がなされる場合があります。
先日超大手監査法人の一つである、みすず監査法人(旧中央青山監査法人)の実質的な解体が決定しました。その組織内で働いていた使用人の立場を考えると、普通の企業に勤めてる方であれば人生の一大事なのかもしれませんが、公認会計士の場合は特に問題にならないという人も多かったりします。なぜならどこの企業でも通用する力、即ちエンパワーメントを備えているからです。この広い世の中、それこそ星の数ほどの様々な企業が存在していますが、企業は企業がそれとして存在する限り、その規模の如何に関わらず、いくつかの要素については共通しているといえます。その一つの要素が「会計」であり、これに精通している会計士は企業というフィールドさえあればぶっちゃけ食い扶持には困ることはありません。実は先のみすず監査法人は、そのうち潰れるだろうといった憶測も就職活動生の間に広がってたりしましたが、それを承知で「潰れ行く超大手企業を体験したい」という理由からみすず監査法人に入所した人もいるようです。
エンパワーメントは保有者の立場からすると「労働交渉力」とも言い換えられます。つまり、企業が提示する労働条件が気に入らないならそこで働かない、あるいはペイの交渉をするという選択肢をもつことができるわけです。エンパワーメントを保有する人材を欲する企業は広くこの世に存在するわけですから、エンパワーメント保有者からすれば他に良い条件で雇ってくれることを探せばよいわけです。
公認会計士の場合は「会計」がエンパワーメントということになりますが、何も有資格者のみがエンパワーメントを備えているわけではありません。何よりも企業が求める「営業力」はエンパワーメントの最たるものと言えるでしょうね。ここで、エンパワーメント保有者の能力を企業が積極的に雇いたいものと消極的に雇わざるを得ないものとに分けた場合、企業の収益に直結するエンパワーメントである「営業力」はまさに積極的なものであり、社会要請に応えるためやむなく対応せざるを得ないという面もある「会計」という分野は、どちらかというと消極的なものといえるでしょう。特に中小企業では、何はなくとも収益を上げなければ話にならないわけで、会計なんて二の次という企業がほとんどです。
そういうわけで、管理人としてはエンパワーメントを保有するにしても積極的に雇いたいと思われるようなエンパワーメントを育てていきたいと思います。昨年の就職活動中にいろんな人に「どういう会計士が社会で活躍してますか」と聞いて回りましたが、ひとり社員の方から「エンターテイナーのような存在は漏れなく活躍している」という回答を頂いたことがありました。会計専門家という看板にしがみついて、そこに甘んじていれば会計士だとしても干されちゃう時代です。公認会計士なんて何も偉いわけじゃないですからね。企業収益に直結する営業力を持ってる人の方が何倍も偉いと思います。